セッションの問い
日本酒づくりを、次の世代が働きたいと思える場にするにはどうすればよいか
※ 問いの文言は暫定です。確定しだい差し替えます。
このセッションの目的は、若い人が地元に戻って酒づくりの仕事に就き、そこにやりがいを見つけられる状態をつくることです。「人手が足りない」「若い人が続かない」「女性が入りにくい」。どれも業界の会合で必ず出る話ですが、そのたびに参照されるのは、個々の蔵の経験談か、出所のはっきりしない通説です。その手前に数字を置くところから始めます。
回答締切:2026年11月30日(月)
同じ設問を、産業をまたいで。
調査の対象は日本酒だけではありません。焼酎、クラフトサケ、日本ワインの醸造事業者にも、同じ設計の質問を投げます。同じ「酒をつくる」仕事でありながら、製法も季節性も規模も違う産業を横に並べることで、「酒造業だから仕方がない」とされてきた条件のうち、どれが本当に製法に由来し、どれが組織のつくり方や慣習に由来するのかを切り分けられるからです。
もうひとつ、産業としての位置の違いも見ます。日本酒は伝統産業として、文化として語られます。日本ワインは輸入された文化で、振興のカテゴリにあり、事業のかたちはスタートアップに近い。同じ醸造発酵飲料でも、背負っているものが違います。伝統という格式を通さない規範のもとでは、ギャップの出かたも違うはずです。産業名で決めつけず、創業年や事業の立ち上げ方、経営体制を聞いて、回答の側からその位置を置きます。
集計結果は、ご協力いただいた事業者にまずお返しします。自分の蔵の位置を業界全体のなかで確かめられるようにすることが、この調査のもうひとつの目的です。一般に向けては2027年5月末に速報を出し、会期で議論したうえで、公表するものの形を決めます。
背景と問題意識
この調査を始めた理由は3つあります。それぞれ開いて読めます。
通説のまま、確かめられずにきた
酒造業の働き方について語られることは、長らくほとんど変わっていません。仕込みは冬に集中する、朝が早い、力仕事がある、住み込みの名残がある、だから人が続かない。どれも間違いではありませんが、どれも「どの蔵で、どれくらい」がわからないまま語られてきました。
分布がわからないと、打ち手も選べません。ある条件が業界の九割に当てはまるのか、一部の規模帯だけの話なのかで、必要なのは設備投資なのか、制度の整備なのか、業界としての合意なのかが変わります。
なぜ産業をまたぐのか
日本酒だけを調べると、出てきた数字が酒造業に固有のものなのか、日本の中小製造業に広く共通するものなのかが判別できません。焼酎、クラフトサケ、日本ワインの醸造事業者に同じ設問を投げるのは、そこを切り分けるためです。
製法も季節性も規模も違う産業で同じ結果が出るなら、原因は製法ではない。逆に日本酒にだけ現れる差があるなら、それは生産体制そのものか、この産業に固有の慣習に由来します。比較は、責任の所在を特定するための道具です。
守るものと、変えるもの
この調査は、伝統を疑うためのものではありません。守るべきものと、慣性で続いているだけのものを、同じ机の上で見分けるためのものです。両者は現場では区別がつきにくく、区別がつかないまま議論すると、どちらの側も相手を軽んじているように見えてしまいます。
2027年7月7日(水)から9日(金)のセッションでは、この調査の結果を出発点に、守るものと変えるものの線をどこに引くかを、現場の当事者とともに考えます。
設問の設計、一次資料の読み込み、分析と公表の責任は、すべてSLS実行委員会にあります。
伝統産業か、新興か。もう一つの軸
日本酒と日本ワインは、同じ醸造発酵飲料です。ただ、産業としての位置は違います。日本酒は伝統産業として、文化として語られます。日本ワインは輸入された文化で、振興のカテゴリにあり、事業のかたちとしてはスタートアップに近い。焼酎とクラフトサケも、この軸の上でそれぞれ違う場所にいます。
3つの層に加えて、この軸を分析に入れます。伝統という格式を通さない規範のもとでは、ジェンダーギャップの出かたも違うはずだからです。設問には創業年、事業の立ち上げ方、経営体制、地域や業界団体との関係を入れ、伝統産業と新興事業のどちらの性格が強いかを回答の側から組み立てられるようにします。産業名で決めつけず、回答から位置を置きます。
2つの票があります
組織票
事業者として回答できる方(経営者・製造責任者・管理部門の方)。1事業者につき1件。
所要 15分程度
個人票
醸造・製造・営業・事務など、酒類事業者で働くすべての方。役職も雇用形態も問いません。
所要 10分程度
参照している一次資料
このページは一次資料の所在を示すリストです。読み込みの進行に合わせて追記します。本文中で業界全体の数字に触れる箇所には、出典と基準時点を脚注で添えています。
酒類産業の統計
- 国税庁酒のしおり製成数量・課税移出数量・製造場数の年次統計
- 国税庁清酒製造業の概況清酒製造業者の経営指標・規模別の集計
- 国税庁酒類製造業及び酒類卸売業の概況酒類製造業全体の事業者数・従業者数
雇用と就業の統計
- 厚生労働省雇用均等基本調査育児休業取得率、女性管理職比率などの事業所調査
- 総務省統計局労働力調査産業別・雇用形態別の就業者数
- 総務省統計局経済センサス(活動調査)産業小分類別の事業所数・従業者数
- 内閣府男女共同参画白書分野別の男女間格差の基礎データ
醸造の技術と現場
- 日本醸造協会日本醸造協会誌製造工程・設備・労働条件に関する技術論文
- 酒類総合研究所酒類総合研究所情報誌・研究報告製造技術および品質に関する研究
業界全体の数字を本文で引く場合は、その箇所に出典と基準時点を脚注で添えます。
公開までの道のり
- 2026年10月調査の告知と回答受付の開始
- 2026年11月30日回答締切
- 2026年12月から2027年4月集計と分析、一次資料との突き合わせ
- 2027年5月末速報の公開
- 2027年6月議論の土台となる分析の実施
- 2027年7月7日から9日SLS2027 会期。セッションで議論し、そのうえでまとめる
